
「カタリバ」という授業――社会起業家と学生が生み出す “つながりづくり”の場としくみ
- 作者: 上阪徹
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2010/09/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「カタリバ」という、高校生が大学生と語り合う場を提供するNPOの活動が軌道に乗るまでの軌跡を紹介した本です。
統計によると、日本の大学生・高校生は先進国の中で群を抜いて自己肯定感が低いと言われていて、オトナたちは無気力だ、などと悲観しますが、そういう自己肯定感の低さはオトナたちが作り出した社会の閉塞感に起因するものであるはずなんですが…
この「カタリバ」を提供しようとしたNPO法人代表の今村さんは、高校生や大学生の「無気力感」というのは何かをキッカケにして払拭されることが多く、特に高校生にとっては一歩先を歩いている大学生の経験や考えを聞くことで大きな刺激をうけることになると考え、「カタリバ」の立ち上げを志したということです。
大学生にとっても、自分が語ったコトバで、明らかに高校生たちの目に光が宿ることを目の当たりにすることで、自分も何らかの役に立てるという実感を持つことで「無気力感」を払拭できるという効用があるようです。
民間出身初の都立中学校長として知られる藤原和博さんが、中学生・高校生にとって、直接利害関係のある親や先生といった“タテ”の関係ではなく、身近なお兄さん・お姉さんという“ナナメの関係”がもたらす効用の高さを指摘されていましたが、「カタリバ」でもそういう“ナナメの関係”だからこそできることを遺憾なく発揮しているんだと思われます。
こういう活動が広まって、若い人たちが少しでも元気になればいいなぁ…