NECソフトでのSEを経てITコンサルとなり、政府のCIO補佐官を務められている方が書かれたシステム発注側の“心得”です。
実はワタクシ、かつてSEとして要件定義の現場にいたことがあるのですが、ストーリー形式でまとめられたこの本を読んで、かつてのイタイ記憶を思い起こさせられたりしました…
この本で再三強調されているのは、ベンダにお任せではなくて、発注側がシステム開発プロジェクトの一メンバーとして主体的な姿勢で臨まなくてはならないということです。
確かにITに疎くてシステムっていうと尻込みをしたくなるキモチもわからなくはないのですが、逆にベンダ側はシステム化する発注側の業務の進め方については、過去の類似プロジェクトで似たケースを経験している場合はありますが、細かい業務の回し方などは知らないはずで、そのあたりを積極的に開示していく必要があるのですが、なかなかそういう前向きな行動は少なく、要件を取りまとめるシステム部門の責任者が孤立するだけではなく、集中砲火を浴びることもあるようです。
さらにワタクシ自身はベンダ側の立場の経験しかないので意識しなかったのですが、システムをベンダに発注したからと言っても、システムの効果を十全に享受できるようになるかどうかのリスク管理はあくまでも発注側にあって、リスクのタネを目を皿にして監視し続ける必要があるということです。
今後AIの発展により、さらに多くの業務がIT化されていくことが見込まれますが、そんな中で、この本に書かれているような姿勢を自社に根付かせることが、企業存続のカギになるのかもしれません。