橋をかける/美智子

 

橋をかける (文春文庫)

橋をかける (文春文庫)

 

 

 皇后陛下美智子様が1998年にインド・ニューデリーで開催された国際児童図書評議会(IBBY)の世界大会の基調講演として寄せられたビデオメッセージを元に作られた本です。

 先日、出口さんが書かれた『教養は児童書で学べ (光文社新書)』でこの本のことが紹介されていて「最高の読書論」として激賞しておられたのを見て、手に取ってみたのですが、子供が本を読むことを通して学ぶことについて語られます。

 副題に『子供時代の読書の思い出』とありますが、美智子様がご幼少の時に読まれた、日本武尊と后の弟橘比売命の物語を紹介されているのですが、日本武尊を助けるために弟橘比売命が「いけにえ」となるエピソードを読まれて、随分と考え込まれたということです。

 『教養は児童書に学べ』でも児童書が将来に子供が直面するであろう苦難を受け入れる準備を整えることになるとおっしゃられていましたが、美智子様も「悲しみの多いこの世を子供が生き続けるためには、悲しみに耐える心が養われると共に、喜びを敏感に感じ取る心、又、喜びに向かって伸びようとする心が養われることが大切だと思います。」と子供にとっての読書の意義を語られています。

 美智子様は児童書の普及についての活動にかなり熱心に取組まれているということですが、ご多忙な中でそうされるのも、こういう意義を深く心に刻まれているからなんでしょうね。

 小さなお子さんを持つ親御さんには是非とも
一読をお願いしたい本です。