御社の商品が売れない本当の理由/鈴木隆

 

  ご自身の事業でのマーケティングの経験を踏まえて“使える”マーケティングを紹介された本です。

 なぜ多くの企業においてマーケティングが“使えない”のかというと、マーケティングの“セオリー”が誤解されていることが多いと言うことで、ホンの初歩的なレベルから上級に至るまでの19のありがちな誤解について紹介されています。

 未だにマーケティングは営業部門が行うものだと思っている企業も多いといったごく初歩的な「誤解」に始まって、マーケティングにおけるコミュニケーションが顧客との「やりとり」にとどまるモノではないというところまでの様々なレベルの「誤解」を紹介されているワケですが、繰り返し指摘されているのがマーケティングの“セオリー”…この本の中では「管理マーケティング」と呼ばれていますが…をなぞるのではなくて、その時々の状況を敏感に捉えて、状況に合った施策を取ろうとする「実践マーケティング」の考え方を重視すべきだと強調されています。

 確かに体系的に整理されたマーケティングの“セオリー”というのは論理的にわかりやすい側面はあるモノの対象となる顧客が“論理的”に行動しているのかというと、必ずしもそうではない…どころか、そうでないことの方が多い中で、いつでも適用できるモノではない、ということをしっかり念頭に置いて、常に状況に合わせる微調整をし続けることが肝要なようです。

 アカデミックなアプローチが必ずしも無効だというワケではないんでしょうけど、マーケティングって生き物なんだということを改めて認識させてくれる本です。