本を読むのが苦手な僕はこんなふうに本を読んできた/横尾忠則

 

 

 世界的な美術家である横尾忠則さんが朝日新聞に寄稿した書評を集めた本です。

 タイトルにもありますがあとがきでも「本を読むのが苦手」だと改めておっしゃっていますが、それゆえなのかフツーの書評とはかなり趣きが異なるような気がします。

 通常の書評だと評者が書籍に歩み寄って評論するものだと思うのですが、割と芸術関連の書籍の書評が多いというのもあるのかもしれませんが、横尾さんは本を自分の方に引き寄せて“自分ごと”として評論をされているような感じがします。

 著者と横尾さん自身の交流に関することがあったり、本に書かれていることとご自身の経験に関わることを書かれていたりと、かなり自由な感じなのですが、確固たる“個”を確立された横尾さんだからこそという側面はありますが、本との対峙の仕方って、本来こうあるべきなんじゃないか、と考えさせられる書評集でした。