広岡イズム/広岡達朗

 

 

 当時“お荷物球団”と言われていたヤクルトスワローズをまさかの日本一に導き、西武ライオンズの黄金期の意志杖を築いた広岡監督の“遺言”です。

 現役時代には当時巨人の大御所だった川上選手にモンクを言い、監督時代も管理野球と言われて選手に細かく口出しをするなど、どちらかというと煙たいキャラで知られる広岡さんですが、この本では誰に遠慮することなく、偏屈ジジイの説教全開です。

 私自身はバブル末期に就職をした“お荷物世代”と言われ続けて久しいのですが、多分こういううるさ型のジジイの言うことを煙たいと思いながらも、後になってみてそのコトバの深みを悟らされた“最後の世代”なんじゃないかと思うのですが、今の30代以降の世代って、あんまりそういうジジイには聞く耳を持たないんじゃないかなという気がしています。

 正直、この本の中で広岡さんが言っていることは時代錯誤と感じることも少なくないですし、目の前でこんな説教をされたら黙って聞き続ける自信はないですが、高度なプレーをしようと思ったら、しっかりと基礎を固める必要があるとか、耳が痛いけど正鵠を突いた忠告も多く含まれていると言う気がします。

 ということで、頑固ジジイの“遺言”だと思って、ひとつでも気に入った“教訓”を見つけられたら…位のキモチで読んでみませんか?