アベノミクスによろしく/明石順平

 

 

 弁護士の方が書かれたアベノミクスの検証本です。

 随分と両極端の評価があるアベノミクスですが、この本では一般に公表されている統計データを丹念に拾い上げて、アベノミクスの功罪を評価しようという趣旨なのですが、結論から言うと、なぜ“良い”方の評価が出てくるのかが不思議なくらいヒドイ状況のようです。

 失業率の低下といった数少ない“功”の部分も、あまりアベノミクスの施策とは関係ないところで発生したモノであったりするのと同時に、“罪”の部分でいうと、“マイナス金利”を始めとする効果の出ない政策を、まだ足りないから効果が出ないんだ!とばかりに垂れ流す有様で、恐ろしくなります。

 経済のシロウトさんのおっしゃることが…と思われる向きもあるかも知れませんが、フジマキ兄がおっしゃる“株・円・国債”のトリプル安の可能性にも言及されるなど、かなり論理的に専門的なところを指摘されているので、決してバカにできるものではありません。

 どうやったらこのバカバカしい状態を抜け出られるのかと思うと絶望的な想いもしますが、最終章で作者もおっしゃられている通り、それでも絶望してはいけないんでしょうけど…