サイコパス/中野信子

 

サイコパス (文春新書)

サイコパス (文春新書)

 

 

 テレビでもコメンテーターとして登場することの多い脳科学者の中野信子さんが最新の研究動向も踏まえてサイコパスと言われる人達について紹介されます。

 サイコパスというのは、カリスマ的に周囲の人を惹きつけるところがありながら、罪悪感や周囲の人への共感などが著しく欠如し、自己中心的な行動をとる人たちを指すそうなのですが、この人たち殺人などの凶悪犯罪を犯す人が多くいる一方で、ビジネスなどで大きな成功を収める人も多いということです。

 歴史上の人物の中でもその行動形態からサイコパスだったと推定できる人がいるということで、織田信長毛沢東などが該当するようですし、最近でもスティーブ・ジョブズが当てはまる要素が多いということです。

 現代の社会でも、軍人や起業家など果断であることが求められる職業において、サイコパスの傾向が強い人に適性があるということで、社会の活性化という意味でも必要とされる場面が少なからずあるということです。

 一方で、倫理観の著しい欠如から平気で殺人などの凶悪犯罪を犯してしまい、かつまったく反省をすることも少ないことから、その犯罪を繰り返してしまうというケースも多いということです。

 こういうサイコパスの要素を持つ人たちは100人に1人の割合で存在すると言われており、アナタ自身が該当するかもしれませんし、いつそういった人たちから被害を受けないとも限らないということです。

 ただどの人がサイコパスに該当するかと言った客観的な基準が確立されているとは言い切れず、倫理的に人体実験的なことも憚られることから、今後も有効な対策を講じることは困難なようで、空恐ろしい思いのする内容でした。