大世界史/池上彰・佐藤優

 

 

 『新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方 (文春新書)』に続く、池上彰さんと佐藤優さんの対談本です。

 この本は2015年に出版された本だということもあって、それ以降により激しく世界が動いたので、多少内容に古さを感じる部分もあるのですが、現代に起こっていることの因果関係を紐解くのに世界史の事例を見て見ようということです。

 例えばトルコのエルドアン大統領のイスラム化政策がオスマン帝国の復活を志向したものだとか、習近平の中国の膨張主義がかつての明帝国になぞらえられるとかということです。

 さらには「ビリギャルの世界史的意義」という章があって、現在の日本の教育の世界史的な位置づけについて、行き過ぎた“入学歴”への志向が真のエリートを育成するにあたっての大きな障害になっていることに警鐘を鳴らされているのが興味深い所です。

 先日、佐藤さんは山内さんとの『大日本史 (文春新書)』で「世界史の中の日本史」ということをコンセプトにされていましたが、実はこの本にもそういう観点から構成された要素があって、そういう見方をすることで、より深い理解につながるということのようです。