40代でシフトする働き方の極意/佐藤優

 

 

 「知の怪人」佐藤さんにしてはかなり珍しく“こちら側”のおハナシをされます。

 その分、佐藤さんの他の著書での尖った感じはないので、多少肩透かし感がなくもないのですが、とてつもない修羅場をくぐって来られた佐藤さんならではの人生訓が詰め込まれています。

 なぜ“40代”なのかというと、40代に差し掛かると特に会社勤めの人にとってはある程度先が見えてくるということで、そのまま頂点を目指していく人と、別の道を見出した方がいい人が明確に分かれて行くということです。

 だからこそその時点でその後の人生の展望をしっかりと考える必要があるのですが、特にその必要性の強い“別の道”を歩むべき人が、そのまま惰性で残りの人生を過ごしてしまうことに警鐘を鳴らす意味もあってのこの本のようです。

 そういう観点から、どういう人生設計をするかによって、人とのつながりを見直したり、やるべきことの“選択と集中”を考えて行くべきだということです。

 そんな中で印象的だったのが、会社の中で頂点を目指すべきポジションにいられないことが、必ずしも“無能”ゆえではないということと、それ自体が“負け”というワケでもないので、そこを引きずることなく、その後の人生を如何に充実されるかということに注
力することがよっぽど有意義だとおっしゃいます。

 ワタクシ自身も明らかに膾炙の中では“負け組”なんですが、そういう人たちに再起のための取組に向けて背中を押してくれる本ですので、身に覚えのある人は、是非とも手に取ってみて下さい!