その「英語」が子どもをダメにする/榎本博明

 

その「英語」が子どもをダメにする (青春新書インテリジェンス)
 

 

 若年層を中心に心理分析に関する数々の著書で知られる心理学者の榎本さんが英語の早期教育に警鐘を鳴らされます。
 
 これまで学校で長らく英語を勉強してもなかなか英語を実用レベルで話せる人は増えてこないということで、とうとう小学校での英語教育が正式科目となってしまいました。

 しかし榎本さんはこの本で表面上英語が「話せる」ようにする(ホントにそうなるかどうかはギモンだったりするのですが…)ために、ちょっと英語の学習開始年齢を早めることで犠牲になってしまうモノの大きさを嘆かれています。

 英語を正式科目にすることにより他の科目の学習時間が圧縮されてしまうワケで、そのことが思考力の育成が蔑ろになってしまうことにつながってしまうようです。

 ただ英語をペラペラ話せるようになるよりも、その中身を充実させることの方がずっと重要なんじゃないのか!?ということで、本を読む大学生が著しく減少している中で、
榎本さん自身も普段接する学生の思考力の低下が顕著となっていることを痛感されていて、そちらの強化の方が喫緊の課題なんじゃないかと感じられているようです。

 このままじゃ日本語でも英語でも深くモノを考えることができない「セミリンガル」を大量に作り出してしまうんじゃないかと、空恐ろしい想いのする内容の本でした。