日本の歴史をよみなおす(全)/網野善彦

 

ワイド版 日本の歴史をよみなおす(全) (単行本)
 

 

 先日紹介した山本博文さんの『歴史の勉強法』の中で推薦図書として挙げられていたので手に取ってみました。

 山本さんによると網野さんはひと頃著書が歴史の専門家だけでなく一般の人にも広く読まれ“網野史観”といって、その独特の解釈が一世を風靡したという数少ない歴史学者界のスターなんだそうです。

 その網野さんが「歴史をよみなおす」ということで、文字や貨幣などといった数々の切り口で歴史を振り返ります。

 似たアプローチの本をいくつか読みましたが、あれって網野さんのパクリだったのね…(笑)

 “百姓”っていうとほとんどの現代日本人は農家の人を思い浮かべると思いますが、実は元々の意味としては“一般人”くらいの意味合いで、中国人は今でもそういう意味で使っているということです。

 それは如何に農民が重要であったかと言うことの証左となるとも言えますが、それよりも歴史の通説が「農本主義」的な部分を前提に解釈しているとも言えるのではないかと、網野さんはおっしゃいます。

 土地を持たない百姓を“水呑百姓”といいますが、そういう人たちは土地を持たないからといって必ずしも貧窮にあえいでいるかというとそうではなく、農業をするための土地を持つ必要が無い程、他のことで稼いでいた人がいたということが最近の研究で明らかになっているということです。

 歴史って、学校で習う内容にとらわれがちですが、よく言われるように歴史は為政者の都合のいいように書き換えられる側面があるので、いろんな見方ができるようにしておいた方がいいようですね…