オリンピックと万博/暮沢剛巳

 

オリンピックと万博 (ちくま新書)

オリンピックと万博 (ちくま新書)

 

 

 オリンピックや万博と言った大きなイベントにおいて、デザインが果たしてきた役割を追った本です。

 この本では建築物、シンボルマーク等のデザイン、映像といったビッグイベントにおいて来場者に“見せる”要素についての進化を語られます。

 全体的なトーンとしては一番最初に出てくる東京オリンピックにおいて最大の盛り上がりを見せて、そのあとは尻すぼみといった印象なのですが、それだけ東京オリンピッ
クへの意気込みが凄まじかったということなのでしょうか…

 特にデザインにおいては、今なお巨大イベントにおけるシンボルマークデザインの最高傑作と言われるメインとなるシンボルマークのデザインを始めとして、イメージポスターや、日本語に不案内な人たちに図案で案内をするピクトグラムなど、亀倉雄策氏を中心としたデザインチームの業績はデザインチーム史上最高の業績と言えるようです。

 特にピクトグラムはその後のビッグイベントにおいても、同様の趣旨が踏襲され、パイオニアともいえる役割を果たしたということです。

 ただ、その後東京オリンピックでのあまりの成功がアダとなったのか、先例を踏襲するような姿勢に終始し、それが故に尻すぼみ的な印象は否めず、2020年の東京オリンピ
ックにおいても同じ轍を踏むような兆候があることについて警鐘を鳴らされています。

 何か、日露戦争以降の日本軍を見ているようで、イヤな予感がさせられるです…