荒くれ漁師をたばねる力/坪内知佳

 

荒くれ漁師をたばねる力 ド素人だった24歳の専業主婦が業界に革命

荒くれ漁師をたばねる力 ド素人だった24歳の専業主婦が業界に革命

 

 

 山口県萩市の漁港で、漁師が料亭やレストランに魚介類を直販する萩大島船団丸の代表を務める若き女性が書かれた本です。

 メディアでも多く取り上げられているのですが、モデルとも見まがう可憐な女性が、時には荒くれ漁師と殴り合いをしながら、ついには漁師たちをナットクさせて束ねていったということで、そのギャップが“画”になったということをご本人もおっしゃっていますが、それよりも一切、漁業にもマーケティングにも経験がないまま、それでも事業計画を立て、それを周囲の反対の渦巻く中、実行し、しっかりと定着させていったということに驚きを禁じえません。

 それだけではなく、漁業全体をみても先進的な取組を成功させたということで、日本中の漁業界から注目されているということなんですが、それもシングルマザーとして、何とか生活を成り立たせようという必死の取組の中で、荒くれ漁師や漁協の圧力を恐れる間もなく取り組んできたということです。

 もちろんそれだけの隠された才能があったということもあるのでしょうが、しっかりと周囲の人やお客さんと向き合って来たからこその成果なんでしょうね…

 こういう女性起業家の成功本って、どこか独りよがりな本が多い気がするのですが、この本の著者である坪内さんは、そういう意味でもとてもバランスの取れた方のようにお見受けしました。