英語で日本語を考える/片岡義男

 

英語で日本語を考える

英語で日本語を考える

 

 

 以前2012年に出版された『日本語と英語 その違いを楽しむ (NHK出版新書)』を紹介しましたが、そのずっと以前の2002年にも同様の趣旨の本を出版されていたということで手に取ってみました。

 『日本語と英語』は新書ということもあり一般論的なお話が多いのですが、こちらは結構マニアックにコトバのニュアンスjの違いを深堀されているという感じの内容です。

 最近になってようやく英語を学習するのに日本語に置き換えるということの問題点が広く認識され始めましたが、20年近く前にこの本は出版されていて、その問題を正面から否定されるワケではないのですが、日本語を英語に置き換えることの難しさを語ることで、逆説的にそういう問題を語られています。

 例えばニュースにおいて、キャスターが現場のレポーターに対して、

 「その辺はどうですか?」

というのはよく見る状況だと思いますが、それに対して英語で周りの人に尋ねるときに、コンテキストを全く無視すれば、

 How about here?

なってやってしまいかねませんが、そういうコンテキストを意識した上で、しかも英語らしく表現すると、

 What can you tell us?

という方が通じやすいということを紹介されます。

 日本語でも英語でも、多かれ少なかれ言外の意味を含めながら話すことが通常で、それをしっかり意識した上で会話しないとコミュニケーションが成り立ちにくいということもあるのですが、英語的なモノの考え方も念頭に置いておかない
と、同様にコミュニケーションが成り立たないということもあり、英語的なセンスを身に付けるために、サラッとでもいいので、この本を読んでもらいたいものです。