モテる構造/山田昌弘

 

 

 「婚活」というコトバを世に送り出した社会学者の山田センセイが“モテ”を語られます。

 でもどうやったらモテるかといった小手先のテクニック論ではなくて、性差と“モテ”の関係性を語られます。

 かつては力強くてシゴトができて、家族を養うことができる男性がモテ、その男性をマメマメしく世話をすることができる女性がモテていたのですが、1980年代以降に産業構造が工業中心からサービス業中心にシフトするにつれて、そういうモテの構造も変化しつつあるということです。

 日本では未だ旧来のモテの構図が継続している度合いが強いようですが、欧米ではかなりシフトが進んでおり、いずれ日本もそのトレンドに続くことが見込まれるということです。

 そういうモテの構造が変質しつつあるのは、これまでモテてなかった層には朗報のようにも思えますが、逆にモテの差がハゲシくなることも見込まれ、結局モテない人はモテないということに帰着してしまう悲しい現実があります。

 ただ世間が求める男性らしさ、女性らしさがモテにつながるというのは変わりないようで、そういうところを意識しておくべきみたいです。

 ところで、この本の本質的なテーマとは直接関連しないのですが、これまでこのブログで社会学の本を取り上げては、何か本質的なモノをつかみきれなくて隔靴掻痒感が拭えなかったのですが、この本の序盤で山田センセイが「社会学というのは人間関係に関する学問である」といった趣旨のことをおっしゃっていて、ようやく社会学というモノが何だったのかというのが腑に落ちた気がしました。