経営学者で、自らも子育てをされている方が、子育てに経営学的な手法を応用することで、子育てもキャリアも充実させるような方策を探るといった趣旨の本です。
ワタクシたち夫婦が子どもを持った10数年前に比べると、格段に小さな子供さんを持つお母さん方が働き続けることが増えました。
企業側も時短など、そういったお母さん方が「働きやすい」環境を制度面や運用面を含めて整備を進めて来ました。
それでも、お母さん方のいる現場の上司や同僚、お母さん方自身もストレスが溜まるような状況が起こりがちなようです。
企業側が「働きやすさ」を提供することで職場の中で気まずさが出てきたり、時短などを活用したが故にキャリアを断念することになり、やる気を失った挙句、「ぶらさがり」になるお母さん方もいるようです。
なので、企業もお母さん方もナットクの行くように「働きやすさ」だけではなく「働きがい」も持てるようにしようということです。
そのためには企業側の制度整備や現場での運用面としての上司などの対応力の向上といった努力だけではなく、お母さん側も戦略的な思考を持つなどといった努力が必要だと指摘されます。
そういう趣旨から国保さん自身が育休中に同じ立場のお母さん方に企業経営の考え方などを啓蒙する「育休プチMBA]を主宰されていたということで、そこを“卒業”して企業において、以前より充実したキャリアを送られているということを紹介されています。
こういう女子のキャリア本って、対象となる人たちの恵まれなさばかりを取り上げて、制度が変わらないとねぇ、とか社会が変わらないとねぇといった無いモノねだりで終わっていることが多いのですが、この本はちゃんと自律的な処方箋が提供されているという点で画期的だと言えます。
子育て中のお母さん方だけではなく、旦那様も、またそういう人を雇用している企業の経営者や上司の方にも、読んで実践してもらいたい内容です。