「孤独」のすすめ/ひろさちや

 

「孤独」のすすめ (SB新書)

「孤独」のすすめ (SB新書)

 

 

 著者略歴では肩書が宗教評論家となっていますが、仏教の考え方に基づいた数多くの自己啓発書の出版でも知られる方の著書です。

 「孤独」とありますが、前面的に孤独を扱うといった感じではなくて、「孤独」を手掛かりについて語ると言った感じです。

 最初の方に、姑と折り合いの悪かった女性が、死んだら姑のいる極楽浄土ではなくて地獄へ行きたいおっしゃったことを紹介しています。

 併せてハリネズミは、カラダの針が故に寒くてもカラダを寄せ合って暖め合うことができないことを紹介されています。

 人間が素直に“暖め合う”ことができないのは、“プライド”という“針”がお互いを刺しあうからだという指摘に深くナットクさせられます。

 もう一つ印象的だったのが、仏教でいう「四苦八苦」を紹介されているのですが、突き詰めれば、すべての人間の苦しみの根源は人間の欲望に求められるということで、ある意味ラクになろうと思えば「阿呆」になれとおっしゃいます。

 「阿呆」というのは物事を解決しようと努力するのではなく、そういうものだと「明らめて」受け入れる人だということなのですが、「諦めて」ではなくて「明らめて」とされているのは、途中で投げ出すといったニュアンスではなくて、物事の可能・不可能を「明らかにする」といった意味あいが強いようです。

 「阿呆」になるということが、ポジティブだということが、ちょっと勇気をを与えてくれるところがあるかも…