思考法/佐藤優

 

 

思考法 教養講座「歴史とは何か」 (角川新書)

思考法 教養講座「歴史とは何か」 (角川新書)

 

 

 「知の怪人」佐藤優さんが、カルチャーセンターで行った講義が元になった本だということで、“歴史”とサブタイトルに銘打たれているのですが、歴史をどうのこうのと評価しようとするのではなく、歴史上のそれぞれの時期に、当時の知識人がどのように“歴史”を積み重ねてきたのかということを取り扱われています。

 当然、現代においても“知識”層が歴史を織りなす思想を紡いでいくワケですが、特に安倍政権になってからの日本を覆う“反知性主義”が歴史を紡いでいく上での悪影響について、ことさら憂慮されているように伺えます。

 2018年の自民党総裁選において、政策論議を求める石破氏に対して、はぐらかしたり圧力をかけたりして、ひたすら論議を避けようとする安倍氏に、佐藤さんが指摘する反知性主義の典型を見たワケですが、公然とウソをツクような政治家であっても、景気を保ってくれるのであればいいや…と思う有権者と、それを見切って乗っかろうとする政治家…ここまで腐った状況というのは、あまり記憶がありません。

 そういう状況に敢然とNoを突き付けることができるように、この本で取り上げられているような、歴史観というモノを日本人がすべからく身につけることができれば、ウソつきの政治家に漬込まれることも無いんじゃないかと思うのですが…