十五の夏/佐藤優

 

十五の夏 上

十五の夏 上

 

 

十五の夏 下

十五の夏 下

 

 

 「知の怪人」佐藤優さんが高校1年生の時に東欧、ソ連を旅行した際のことを書かれた本です。

 上下巻合わせて900ページ近くの大著ですが、ワタクシ自身紀行文が好きなのと、内容がかなり興味深いモノだったので2日ほどでイッキに読み切ってしまいました。

 この旅行に行かれたのが1975年だということで、東西対立がまだまだ激しかった頃で、西欧陣営に属していた日本から訪れる人は少なく、また15歳にして初めての海外旅行で訪れるというのは、行こうと思う本人もそうなのですが、親御さんがよく行かせたものだとおもいます。

 旅行中に出会った多くの人からも同様のことを言われており、さらにこの旅行が佐藤さんの人生を左右するものになるとおっしゃられていたそうで、その後、まさにその予言通りに人生が進んで行ったことを、佐藤さんご自身も自覚しておられるからこそ、再三このエピソードを取り上げられているんでしょうね。

 ワタクシ自身も、佐藤さんのこの旅行程のスケールには及びもつかないものの1990年に、まだ社会主義国たる実像を残していた中国を旅行したこともあって、公務員の投げやりな態度などを読んで、その時のことを思い起こしたのですが、ワタクシが中国に行った時と比べても、交通手段や宿泊などの手配は遥かに難しかったであろうことを思うと、よくぞ無事この旅行をやり遂げたものだと感心します。

 読んでいて強く感じたのは、15歳の少年“佐藤優”はやっぱり、後の「知の怪人・佐藤優」だったんだなあ、ということで、モチロン知識量や経験は、後の佐藤さんに及びもつかなかったでしょうけど、論理的な発言や生硬なキャラが、著書から伺える現在の佐藤さんのキャラを彷彿とさせます。

 それにしても40年前の旅行のことをここまで克明に、まるで今、目の前で起こっているかのように蘇らせる筆力には驚くべきところです…え、ひょっとして40年前の佐藤少年がそれに近いメモを残していた!?…どちらにしてもスゴイですね。(できれば、どこかでこの本の裏話を聞きたいところですね。)