会社人生、五十路の壁/江上剛

 

 

 江上さんは49歳の時に銀行を辞められて作家になられたということなのですが、そのせいか50歳の人に向けての著書が多い気がするのですが、この本もそのうちの1冊のようです。

 50歳ともなると、会社での自分の立ち位置が望まなくてもよく見えるお年頃なワケで、それ故に様々な壁が合わられてくるのがわかるということで、それぞれの壁の正体を解き明かされます。

 この本の中で江上さんが再三言及されているのが、お母さまにご自身が繰り返し言われたことだということなのですが、“のに”に囚われないようにすることだということで、「こんなにガンバってきた“のに”報われない」といったグチで、まあ個々の事情は同情を禁じ得ないにしても、それに囚われ続けることで、思考が後ろ向きになってしまうので、そこに拘泥するのではなくて、起きたことは仕方ない、それよりも今後のことを如何に充実させるかということに集中すべきなんじゃないかということをおっしゃっています。

 人生100年時代と言うことが取り沙汰されるようになって、70歳まで働けるようにという法整備への準備も進められるようになり、以前とは違って50歳というのは“終わりの準備”ではなく、後半に向けた仕込みの時期だと位置づけるべきだということで、如何
にその後の人生を充実させるかという観点で取り組むことが重要なようです。