同志社大学神学部/佐藤優

 

 

 「知の怪人」佐藤優さんの自伝的な内容で、大学時代から外交官試験に合格して卒業するまでを辿られます。

 別の著書で、自伝的なカタチを取っているが神学がどういうモノなのかがよく理解できるとおっしゃっていたので手に取ってみましたが、やはり、先日紹介した東欧・ソ連への旅行記である、『15の夏』同様、佐藤さんがどうやって「知の怪人・佐藤優」になっていったのかに興味がそそられます。

 ご自身が神学へ取り組んで行かれた過程に沿って、神学の沿革を紹介されているのですが、佐藤さんが多くの著書で再三、神学はに「生き方」を教えてくれる学問だとおっしゃっていますが、その中でも多くの学派みたいなものがあって、その中でも佐藤さんが、キリストの考えたことに近い現実を生きる人々に寄り添うような思想を選び取って行ったが故に、なおさらそう強調されるんだろうなと感じます。

 佐藤さんが大学生だった頃は学生運動が激しい頃で、佐藤さんご自身もマルクス主義的な考え方に傾倒していたことから多少の絡みはあったようですが、運動ありきであまり思考に重きを置かない趨勢に疑問を感じていたようで、あまり積極的には関わらなかったようです。

 それにしても、あの頃の“空気”なのかもしれませんが、ホントによくモノを考えていて、それを仲間と積極的にぶつけ合っているのが印象的です。

 そう考えると、佐藤さんの世代から10年程下ったワタクシの時期では既にここまでモノを考える風潮って薄れてましたし、仲間と議論をするなんて言うと浮いてしまいかねない状況だったのですが、今ってどうなんでしょうね!?…どんどん思考力が低下して行っていくようで空恐ろしい気がします。