日本に絶望している人のための政治入門/三浦瑠麗

 

日本に絶望している人のための政治入門 (文春新書)

日本に絶望している人のための政治入門 (文春新書)

 

 

 先日『あなたに伝えたい政治の話 (文春新書)』を紹介しましたが、あちらが2015~18年の三浦さんのブログ『山猫日記』の記事がベースになっているということでしたが、コチラはそれ以前の記事をベースにした本だということです。

 「政治入門」を謳われていますが、別に体系的な政治学の知識を紹介しているワケではなく、時事的な政治のトピックについて三浦さんがコメントされたという内容で、「政治入門」という割には観念的な言い回しや専門用語も多く『日本に絶望している人のための政治入門』と比べると難解に思えるところも多く、この3年ほどの間に三浦さんが書き手として、かなり受け手寄りのスタンスを手に入れたということに感心させられます。

 ただ、こなれていないが故の良さがこの本にはあって、何とも言えない“青さ”が魅力に感じるところが少なからずあります。

 特にリベラルについて言及されているところで、この国の知識階級の多くが戦後リベラルを志向されてきているということなのですが、その大部分が既存の権威への“反対”に終始して建設的によい世の中を生み出すことにつながる気概に欠けていると指摘されています。

 そうなってしまうのは市井の人々に対するコンパッション(寄り添う姿勢)に欠けているからだとおっしゃっていて、あの三浦さんがそういうアツいところを秘めていたのかと思うと、ちょっとカンドーします。