『下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)』などのヒットで知られる三浦さんが、ある意味物質優先主義的な生き方へのアンチテーゼを提示したとも言える本です。
この本では、
・生活実験
・昭和の官能
・郊外の夜の娯楽
・新旧をつなぐ
の4つのパートから成っていて、全体のタイトルは「生活実験」のパートのうちの1つのトピックから取られているのですが、ちょっとこのタイトルが強烈すぎるところもあるので、全体の読後感にちょっと肩透かし感を覚える人もいるかもしれません。
一見それぞれ関係ないテーマに見えるのですが、あとがきでタネ明かしをされていて、消費生活の変遷の中でこれまで物質優先主義的な考え方に基づく生活様式が主流を占めていたのが、少しずつ“生きる実感”を求める志向が台頭してきたのではないかということです。
特に「生活実験」のパートに顕著なのですが、物質的なモノよりも人と人とのつながりを重視するような生き方であれば、必ずしもシャカリキに働く必然性はないんじゃないかと、このパートのトピックを読んでいると感じます。
まあ、だからと言って働かないことを推奨されているワケではないんでしょうけど、こういう生き方があって、それはそれで結構シアワセになれるということを知っておくことは、結構重要なことになるのかも知れません。