1968年/中川右介

 

1968年 (朝日新書)

1968年 (朝日新書)

 

 

 1968年当時のサブカルについて取り上げた本です。

 なぜ1968年なのか、というのは切り取る人の感性や記憶で異なるんでしょうけど、サブカルの基盤が築かれ始めたということで1968年を切り取られているようです。

 ということで、1968年時点の、音楽シーンを代表する現象としてタイガースを始めとしたグループ・サウンズの様子、少年ジャンプの創刊を中心とした漫画界の状況、江夏豊と『巨人の星』を手掛かりに辿るスポーツ界、旧来のスキームの崩壊のキッカケとなった『黒部の太陽』を取り巻く映画界の状況の4つの分野での“1968年”の状況を切り取られます。

 戦後の混乱期からほぼ完全に抜け出し、新たな世の中への胎動を表現するという意味合いにおいて、こういうエンタテインメントの世界の新たな動きを追うというのは、ある意味象徴的なところがあるように思えるのと、こういう風俗的なモノが世相を反映しているのはホンマやな!?と改めて痛感した次第でした。