病院のやめどき/和田秀樹

 

 

 精神科医である和田さんが病院にかかることの弊害を語られます。

 モチロン我々は病気を治すために病院に行くんですが、日本の病院ではエビデンスに基づいた治療という意識が希薄で経験則的な治療をすることが多いことから、医療の進化や環境の変化にも関わらず10年一日的な診療が延々と行われているということです。

 そういうこともあって必ずしも個々の患者の症状にあった治療が行われているとは限らないようです。

 例えばガン患者だと抗ガン剤の投与やガン病巣の切除と言った治療が行われるのですが、高齢者の方は何らかのカタチでガンを体内に持っていることがほとんどで、放置しても5年生存率はあまり変わらないにも関わらず、敢えて抗ガン剤治療を施すことで、副作用などにより患者さんのQOLを損なっていることが多いようです。

 また投薬の過多についてもよく指摘されていますが、むしろ投薬よりも栄養状況の改善により患者さん自身の抵抗力を上げていくことの方が高い効果がみられるといったことも病院では無視されがちのようです。

 そういう状況というのは大学病院を頂点とする日本の医療体制が臨床よりも研究に重点を置いていたり、投薬で医療費の実績を積み上げようとしてりといったことに力点を置いて、患者さんの治療が二の次になっていることが原因のようで、しっかりと患者さん自身が自分に必要な治療を見極めるための情報を集めて、患者さんに寄り添ってくれる“良い”お医者さんに出会えるようにすることが重要みたいです。