ルポ中年フリーター/小林美希

 

 

 2018年時点の中年のフリータの状況を追った本です。

 ちょうど団塊ジュニアの世代にあたり、大卒時に就職超氷河期にあたってしまい、思ったような就職ができなかったことからフリーターで様子を見ようと思ったのが最後、そのまま“中年”になってしまったということで、なかなか結婚することも家を借りることもままならなくて、たとえ結婚していてもかなりキビシイ暮らしぶりを強いられていることを紹介されています。

 ただ、昨今はこんなに人手不足が取り沙汰されていることから、こういう人たちが依然として存在すること自体不思議な気がしていたのですが、フリーターとしてどんなに長く働いても、それはキャリアとしてはカウントされず、ゼロの状態として雇うんであ
れば若い人の方がいいや、ということになってしまうことから、なかなか正社員としての就職を果たすことができないようです。

 この手の本って、ただ悲惨な状況を紹介するだけのことが多いのですが、この本がよかったのはそういう現状を積極的に救おうとする企業が少なからず存在することを紹介されていることで、そういうところを丁寧に探すことが府のスパイラルを抜ける1つ
の重要な手段となり得るみたいです。

 特に地方においてはある程度正社員としての雇用が存在するということで、可能な限り視野を広げて見ることが重要なようです。

 それよりも、人手不足だからと言って一足飛びに移民なんてことを言うのではなくて、こういう人たちの雇用をキチンと確保することの方が、一挙両得どころか、少子化対策にもなっていいんじゃないかと思うんですけどね、政治家の皆さん!?