新・日本の階級社会/橋本健二

 

新・日本の階級社会 (講談社現代新書)

新・日本の階級社会 (講談社現代新書)

 

 

 ここのところ佐藤優さんの『格差社会を生き抜く読書』など格差が顕著になってきた日本社会についての本を何冊か紹介していますが、佐藤さんの本の中で紹介されていた本書ではもはや格差社会ではなく“階級社会”に移行していっているのではないかということを紹介されています。

 橋下さんがおっしゃる“階級”は冒頭で「収入や生活態度、そして生活の仕方や意識などの違いによって分け隔てられた、いくつかの種類の人々の集まりのことという」と定義されていて「各階級の間の違いが大きく、その違いが大きな意味を持つ社会」が“格差社会”だとおっしゃっておられます。

 日本がそういう“階級社会”と言える状態になった現象について、統計を元に紹介されているのですが、現政権を担う自民党の支持者層が“格差”を肯定的に受け止めていて、本来“格差”を是正しようとする理念を持っていた公明党のが自民党と共に予定を構成されていて、その他に格差を積極的に是正しようとする有力な受け皿がないことから格差が放置され続け、“階級”というに等しい状況がもたらされてしまった側面があるようです。

 格差の是正に向けた方向性にも触れられているのですが、日本では貧困に陥ってしまったことについて、「自己責任論」が根強くあり、なかなか是正に向けた政策へのコンセンサスを得ることが難しい状況があるようです。

 ただそういう貧困層の拡大により社会福祉のコスト増大といった側面もあり、何らかの是正が社会全体として喫緊の課題となっているようで、そろそろマジメに考える必要があるようです。