スポーツ関連の著作も多く手がけられているジャーナリストの佐山さんが語られる日本サッカーの苦難の歴史です。
佐山さん自身、小学校6年生だった1964年の東京オリンピックの際にハンガリー対モロッコ戦を観戦して以来、当時マイナースポーツであったサッカーにハマり、ジャーナリストとなってからも当時不遇の日本代表チームに同行するなど、日本サッカーの発展を語るのに相応しい、数少ない一人だと言えます。
この本は日本にサッカーが紹介されてから長いマイナー扱いの時代を経て、W杯で決勝トーナメントに進むようになるまでの歴史を紹介されているワケですが、1970~80年代のドン底とも言える時期に、その当時の協会を弾劾した記事など、屈折しながらもアツい内容を紹介されている反面、W杯の常連になってからのことに触れている内容が余りにも淡々と事実だけを紹介されているように思えて、ちょっとそのギャップに驚くというか、呆れるというか…
初期の金子達仁氏のエッセイでもマイナースポーツの時期の屈折した視点が見受けられますが、佐山さんはその時期が長い分、日本を代表するメジャースポーツになった現状をウマく受け入れられていないような印象を受けます。
まあ、こういう人たちのいつまでも現状に満足できない姿勢と言うモノが日本サッカーの強化につながった側面も否定できないのですけどね…