やってはいけない健康診断/近藤誠、和田秀樹

 

 

 『患者よ、がんと闘うな (文春文庫)』など、通例のがん治療を否定して物議
をかもした近藤センセイが、精神科医で多くのビジネス書の著者としても知られる和田センセイと対談された本です。

 今回のターゲットはがん治療ではなく健康診断なのですが、これが受診者の健康のためではなく、本来は健康なはずの人を、やたらと細かい“網”に引っ掛けてムリヤリ病人を作り出して医療業界を潤そうとしているんじゃないかと噛みつかれています。

 というのも受診者全体の中で全項目をクリアする人はわずかに5%ほどしかいないということで、昨年高血圧の基準が引き上げられて、今までの基準は何だったんだということがありましたが、一事が万事で、ああいう閾値に統計的な根拠は何にもないということです。

 高齢になるとあまりに血圧が低いと血栓のリスクもあるとか、多少コレステロール値が高い人の方が寿命が長いなど、多分に“常識”に反する事実もあるようです。

 しかも健診を受けたからと言って寿命が伸びているということは統計上もみられないようで、献身を廃止した長野県のある村では平均寿命が伸びたということですし、諸外国にこのような健診制度がある国は皆無だということです。

 医師と製薬会社と政府の結託という受け入れられやすいネタで、眉にたっぷりツバを塗って読みましたが、話半分に聞いても健診がバカバカしくなります。