グルメぎらい/柏井壽

 

グルメぎらい (光文社新書)

グルメぎらい (光文社新書)

 

 

 本業は歯科医でありながら食通として知られ、自らも多くの食に関する著作を持つ方による昨今のグルメを取り巻く環境への嘆きを綴った本です。

 柏井さんによるとSNS全盛の昨今のグルメを取り巻く環境は、本来美味しいモノを楽しむといった姿勢が希薄になっていて、料理人にしても、食べる側にしてもブランド志向というか、有名なこの店の料理を食べてますということに血道を上げていたり、料理人の側も味はさておきインスタ映えのために見た目を優先したりしていて、かなり歪んだものになっているんじゃないかということです。

 柏井さんが京都出身だということもあって、京都的な斜に構えた視点!?という見方も無きにしも非ずなのですが、それにしても食べ物の美味しさよりも“名前”を優先させることに強い違和感を感じてはみたものの、ワタクシ自身、こんな店で食べましたよとSNSに上げるときに、“こんな店”ということを全く意識していないと言えばゼッタイにウソであって、知らず知らずのうちにそういう毒され方をしていたのだなと思うと、ちょっと怖い気がします。

 やっぱり自然に食を楽しむのなら、SNSって敵なのかも知れませんねぇ…