精日/古畑康雄

 

精日 加速度的に日本化する中国人の群像 (講談社+α新書)

精日 加速度的に日本化する中国人の群像 (講談社+α新書)

 

 

 共同通信の記者の方が語る、極端に日本に肩入れする中国人達の実像です。

 2019年の桜のシーズンに中国の大学構内で和服で花見をしようとして当局に拘束される中国人の人がいたというニュースを見て、何でまた好き好んでそんなことをしたんだろう…と不思議な気がしたのですが、最近中国では旧日本軍の軍服を着て、中国国内のかつての戦跡で写真を撮ることがごく一部で流行しているということで、かなり驚きました。

 ごく一般的な日本人からしたら、何で自分たちを侵略した日本軍の軍服を着たくなるのか…と思う向きもあるでしょうが、思い返してみれば、かつて完膚なきまでに日本人を叩きのめしたアメリカ軍のグッズを求める日本人が少なからずいて、日本国内でそういうビジネスがリッパに成り立っているところを見れば、さして異様なことでなないのかな、と思わされますが、日本文化がそれだけの影響力を中国において持ちえたということがオドロキだったりするのですが、日本人がアメリカの軍服を着ることほど単純なことでもなさそうです。

 こういった人々について中国当局は「精日」と呼んで警戒しているようで、実際にこういう人達は日本のあこがれだけではなく、中国当局への反発の感情も、そういう行動の背景にあるようです。

 ただ旧日本軍の軍服を着て制圧された遺跡で写真を撮るといった極端な行動をとる人は、「精日」と言われる人の中ではむしろ少々メイワクと捉えられる面もあるようで、もともと「精日」というのは「精神的日本人」の略で中国人でありながら自分の精神的な基盤は日本的なモノで形成されていると考えている人たちで、ライトな層であれば日本文化へ継投するあまりそういうスタンスを取っている人たちだということです。

 ただこういう人たちは多かれ少なかれ中国当局への違和感を持っているということで、表面上はともかく、現在の中国は結構不穏な空気を孕んでいるのかも知れません。