警備ビジネスで読み解く日本/田中智仁

 

警備ビジネスで読み解く日本 (光文社新書)

警備ビジネスで読み解く日本 (光文社新書)

 

 

 学生時代に警備員の制服に憧れ、アルバイトで警備員をしていた社会学者が警備ビジネスの沿革や現状、今後の姿を語ります。

 元々「警備ビジネス」はかつての“用心棒”的なモノから端を発しているということもあって長きに渡り裏社会との関連が深かったということで、現代日本の様々な場面において不可欠な警備であるにも関わらず、なかなかそれにふさわしいスポットライトを浴びることもなく、なかなか警備業務に従事する人たちを集めることが困難であったり、一見単純業務に見えてしまうことから待遇自体の向上もままならなかったことなどが紹介されています。

 たた不安性差を増す社会を反映してか、警備ビジネス事態へのニーズは確実に増加しており、機械化や自動化などを含めて発展を続けており、高齢者雇用の受け皿としても重要な役割を果たしているという現実もあります。

 警備ビジネス自体を正面から捉えた著作自体が少ないということもあり、タイトルにある通り日本の戦後の社会をかなり忠実に反映しているという部分もあり、なかなか興味深い内容でした。