サイバーメトリクスの落とし穴/お股ニキ

 

セイバーメトリクスの落とし穴 (光文社新書)

セイバーメトリクスの落とし穴 (光文社新書)

 

 

 この本の著者は本格的な野球選手としての経験が全くないにも関わらず、Twitterダルビッシュ投手とひょんなことからつながり、今では投法のアドバイスまでされることになった方だということです。

 スポーツ総合誌『Number』が毎号スポーツに関する書籍を紹介しているコーナーがあって、この本が紹介されているのを見て手に取ってみたのですが、その紹介の中で、フザけた著者名(Twitterのアカウント名?)だということもあって、ダルビッシュ投手がアドバイスを求めているというエピソードが無ければスルーしていたところだったとおっしゃっているのですが、300ページ以上にもわたる深遠な野球論にはちょっと唸らされます。

 投球論やバッティング論、キャッチャー論の章では、個々のプレーに関する詳細な内容が多く、あまり野球に明るくないワタクシとしてはほとんどついていけなかったのですが、監督の采配や球団の経営などマクロ的な内容になるに従い、この方の理論のスゴミがおぼろげに感じられます。

 タイトルではサイバーメトリクスが掲げられていますが、この方、MLBの最先端の戦略・戦術にも明るく、ひと頃流行ったスモールベースボールやサイバーメトリクスから、フライボールを経てオールラウンドな対応能力、心理的なアプローチの再認識といったトレンドと、NPBが如何にそういった流れにキャッチアップしていくべきかと言う方向性についても紹介されています。

 ただやはりNPBでは未だ名選手がいきなり監督になったりするケースも多く、分析的なアプローチに著しく書けていることが否めず、なかなかキャッチアップは容易ではなさそうです。

 マニアックな野球ファンはモチロン、通ぶりたいソフトなファンも是非一読の程を!