教養が身につく最強の読書/出口治明

 

教養が身につく最強の読書 (PHP文庫)

教養が身につく最強の読書 (PHP文庫)

 

 

 この本は以前『ビジネスに効く最強の「読書」 本当の教養が身につく108冊』として出版されていたモノを文庫化するにあたり、改題の上、日経ビジネスオンラインの連載の、2013年6月~2015年11月掲載分を加え、加筆・修正されたモノだということです。

 このブログでも『ビジネスに効く最強の「読書」』を紹介済みだということで、加筆があるとはいえ、再販本を取り上げることは原則としてやっていないのですが、かなり著作の性格が変わっているような気がしたので、改めて紹介させていただきます。

 まず、タイトルの変化を見てもわかるように、ターゲットがビジネスパーソンに限定されなくなったこともあって、実利的な内容と言うよりも、人間性を深化させようというところにフォーカスを移されているような気がします。

 また、古典や原典をやたらと重視されているなぁ、という印象が再販本を読んでみると、そこまででもないかも!?と思われるところもあり、確かにフツーの読書ガイドと比べると古典の割合は高いのですが、改めてみてみるとちょっとそそられるモノもあります。

 前回読んだ時はそこまで感じなかったのですが、“常識”に囚われず、色んな視点を持つことで、自分なりの考え方を形成することの重要性がクローズアップされており、特にペリーの来航から幕末の社会情勢について、アメリカ側の視点を伺うための本や、貨幣経済の状況を伺うことで社会の動きを伺うなど、ただ政治だけの動きではない社会全体を動態的に見ることの意義を説かれます。

 最後に、初版本にはなかったフランス在住の日本人女性が日本での子育ての惨状についての、出口さんに宛てた手紙を紹介されていますが、事業家から教育者に転身された今、“育てる”ことを重視されていることを伺わせます。

 何にせよ、『ビジネスに効く最強の「読書」』を読まれていたとしても新たな発見があるはずなので、是非こちらも手に取ってみてください。