偉人たちの経済政策/竹中平蔵

 

偉人たちの経済政策 (角川新書)

偉人たちの経済政策 (角川新書)

 

 

 あの竹中センセイが日本史の中での“経済政策”を語る!?とあって色めきだって手に取ってみたのですが…

 “経済政策”なんていうもんだから、近世を中心に語られるのかな!?と思いきや、飛鳥時代からスタートしておられて、そんなに“経済”として語るネタがあるのかと思えば、言わずもがなの社会背景の説明に終始されていたり…

 確かに貨幣経済定着のキッカケとなった平清盛日宋貿易による宋銭の大量輸入や、行き過ぎた貨幣経済の揺り戻しとなった農本主義鎌倉幕府など、ツッコんで行けばオモシロそうなネタが紹介されているのですが、政治や社会情勢など分かってるって!?の背景説明が多すぎて、肝心の“経済政策”の部分のツッコミが浅すぎて、肩透かし感がハンパありません。

 台湾での植民地経営や関東大震災からの東京の復興に尽力されたことで知られる後藤新平の“経済政策”や、ケインズの『雇用・利子および貨幣の一般理論』出版以前にケインジアン的な政策を実行していた高橋是清、池田内閣で所得倍増計画の思想的なブレインを務めた下村治の考えなどを紹介されているところは期待に違わぬところなのですが、通史的に語るのではなくて、こういったピックアップで深堀をしてくれていたら、もっと読み応えがあったのに…