アウトローのワイン論/勝山晋作、土屋美登世

 

アウトローのワイン論 (光文社新書)

アウトローのワイン論 (光文社新書)

 

 

 “自然派ワインの伝道師”と呼ばれ、日本でのワインの普及に多大な貢献をされ、2019年1月に亡くなられた勝山さんが語られるワインの楽しみ方です。

 勝山さんはこの本の中で、飲まれたワインのうちで良質なモノについて、再三「スッと体に入っていく」という表現をされているのが印象的なのと、この本の中の1章で「考えるな、感じろ」ってブルース・リーみたいなことをタイトルにされていますが、これが勝山さんのワインに対する考え方が凝縮されているんじゃないかと思えます。

 どうしてもワインと言うと、ブドウの品種や産地といった膨大な知識を要するとする向きもあって、なかなかハードルが高く感じるのですが、それはそれとしてカラダが感じるままに、という人間として原点的な楽しみ方もあるんじゃないか!?とおっしゃっているのかも知れません。

 勝山さん自身バイヤーをされていた時期もあって、膨大な知識をお持ちのはずで、それはそれで貴重な観点なんですが、5大シャトーみたいな“ハレ”のワインなんて飲める人は限られているワケですし、勝山さんが推してこられた“ヴァン・ナチュール(自然派ワイン)”には5大シャトー産のワインに負けない「艶っぽさ」を持つモノもあるそうで、ある意味開き直って、自身の五感を全開にしてワインを感じてもいいんだ、と勇気づけられる本でした。