スポーツビジネス15兆円時代の到来/森貴信

 

スポーツビジネス15兆円時代の到来 (平凡社新書)

スポーツビジネス15兆円時代の到来 (平凡社新書)

 

 

 JリーグのV・ファーレン長崎の立ち上げに携わった方が、昨今のスポーツビジネスの進展と今後の可能性について紹介された本です。

 以前はプロスポーツチームの経営なんて言っても、親会社が宣伝のためにチームを持って、プロスポーツチームそのものは莫大な赤字を垂れ流しても、宣伝費みたいなカタチで親会社が補填するといった感じだったのですが、Jリーグの成功以降、プロスポーツチーム単体でも利益を出せるような経営がなりたつようになったことを指摘されています。

 また旧来的なスポーツチーム経営の典型であったプロ野球においても、DeNAなどIT企業の経営からのノウハウを活用してマーケティングの手法を取り入れた経営で一定の成果を残しています。

 この本では、新たなスポーツビジネスについて、マネジメント面、ハコであるスタジアムの在り方、人材面の紹介をされていますが、特に印象的なのが人材面に関する言及で、以前は親会社からの出向者が期間限定で腰掛的にやってきて、場当たりな経営を行っていたモノが、元々スポーツ経営には潜在的な希望者が少なからずいたことから、前職での経験を活かしてプロフェッショナルに経営・運営に関与する人材が増えてきていて、経営品質面も格段の向上を見せているチームも増えてきているようです。

 安倍内閣の「日本再興戦略」でもスポーツビジネスが柱として挙げられていて、東京オリンピック以降もよりスポーツが発展していくためにも、大いなる貢献が期待されるところです。