中国思想史を専門とされている方が、皇室と儒教の関係を語られた本です。
皇室と言うと伝統に彩られたイメージがありますが、生前退位の際によく取り上げられた、天皇陛下の稲作や皇后陛下の養蚕の年中行事って、いつから行われているかご存知ですか?(実は、戦後なんですって!)
皇室は伝統を重んじながらも、明治維新の際に洋服を始めとした欧米風のスタイルを取り入れたことでもわかるように、かなり大胆にその時々のトレンドを取り入れてきており、その流れの一環として儒教の考え方も積極的に取り入れてきたようです。
この本を読むと、皇室が儒教から大きな影響を受けているだででなく、日本の社会制度のほとんどが儒教の考え方をベースにしていたことに驚きます。
譲位の際に話題になった元号も、暦も、祭祀に関することもほぼすべて儒教の考え方に基づいているということです。
ただ、厳格に儒教の考え方を受けれた朝鮮半島の歴代王朝とは異なり、かなり柔軟に取り入れていたようで、その時々の社会状況に応じて取捨選択が行われていたことが日本の皇室の特徴で、だからこそ「世界最古の王室」となり得たんだろうなぁ、と思わされます。