日本人の勝算/デービッド・アトキンソン

 

日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義

日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義

 

 

 明けましておめでとうございます。

 今年もこのブログをよろしくお願いいたします。

 

 新年一発目の投稿は今後の日本の進むべき道を指し示す1冊を紹介したいと思います。 

 『デービッド・アトキンソン 新・観光立国論』でブレイクしたアトキンソンさんですが、最近は元々提唱されていた日本人の生産性の低さを指摘する方向性に回帰されてきていて、この本もその流れの一冊と言えるモノです。

 ただ最近、かなりアトキンソンさんの危機感がより昂じて来ているようなのですが、それが日本の急激な人口の減少が見込まれることから、これまでの日本企業のビジネスモデルを根底から揺るがすようなインパクトをもたらすことが間違いなさそうなことから来ているようです。

 基本的には欧米資本主義世界におけるビジネスモデルというのは、人口増加に伴う経済の拡大を前提としていると言えるのですが、多くの国が人口減少を見込めなくなっていくようで、戦略の転換を迫られるのですが、その中でも日本は2060年には30%以上の人口減少という世界にも群を抜いた減少が見込まれるということで、戦略の転換ができなければ、国家存亡の危機とも言えるような状況にあるということです。

 そこでアトキンソンさんが提唱されているのが、政策による最低賃金の引き上げで、そうすることで企業に強制的に生産性の向上を強いるというモノなのです。

 元々、日本人の労働者としての“質”に比べて、日本人の給与は、アトキンソンさん曰く「不当」に低く抑えられているいうことで、そういった労働者を“搾取”してきて、内部留保を積み上げてきたきた日本企業の姿勢を厳しく批判した上で、働き手が減少して行くと、最早そういったビジネスモデルは成り立ちえないということです。

 最低賃金の引上げというと、韓国の文在寅政権の失策を思い出しますが、あれはいきなり16%もの急激な引き上げを行ったショック的な反応だったということで、同様の政策を実施したイギリスでは倒産や解雇もさほど生じることなく、生産性の向上によって、コストの上昇を相殺できたということです。

 『新・観光立国論』もドラスティックな提案だと思いましたが、この本は日本の経済を根底から覆し、救いとなってくれるんじゃないかと思える、壮大な提案なんじゃないかと思えます。