この本も『言ってはいけない』からの流れになるんでしょうか、日本における“格差”について語られた本です。
「上級国民」というコトバは池袋で元高級官僚が暴走事故を起こし、母子を死亡させたにも関わらず報道で被告扱いされずに、“さん”付けでの呼称だったことからネットで広がったということが知られていますが、確実に日本でも“格差”が拡大して行っていることの裏付けと思える事件が増えてきています。
昨日、BrExitにおいての労働者階級の動静を紹介した、『労働者階級の反乱』を紹介しましたが、そういった動きやアメリカでの「プアホワイト」の熱狂的な支持によるトランプ政権の誕生、フランスのイエローベストのデモなど、不遇な層がポピュリズムと結びついていく動きが顕著ですが、日本も決して例外ではなく、こういう蓋然性があるということです。
『言ってはいけない』でも紹介されていましたが、上級/下級を分けるのはハッキリと「大卒/非大卒」だということを改めてハッキリおっしゃっておられていて、その傍証を紹介されます。
さらには「上級/下級」の世界的な分断の潮流について指摘されているのですが、これまで「知識社会化・リベラル化・グローバル化」の大きな流れがあったワケですが、これがどんどん高度化するにつれて、その流れについていけない層が拡大し、そういう層が「反知性主義・保守化・排外主義」といった「右傾化」をしていったということで、“反動”の動きと言えるかもしれません。
そんな中でサイバーリバリタリアンというリベラリストの中でも理想主義的な人たちが掲げるベーシックインカムについても触れられていますが、橘さんは、例え導入されたとしても、国が支給対象となる「国民」を厳しく選別する「人種差別国家」を生み出すだけだと否定的に指摘されます。
久々に橘さんの描くブラックな現実です…