米中ハイテク覇権のゆくえ/NHKスペシャル取材班

 

米中ハイテク覇権のゆくえ (NHK出版新書)

米中ハイテク覇権のゆくえ (NHK出版新書)

 

 

 “5G”の主導権争いでアメリカが中国企業のファーウェイを排除しようとしていることが話題になりましたが、ハイテクのあらゆる分野でアメリカと中国が激しいつばぜり合いが繰り広げられていることを紹介した本です。

 以前、中島恵さんの『日本の「中国人」社会』を取り上げた時に、近年中国人の成長へのすさまじい意欲を紹介しましたが、特にハイテク分野において顕著なようで、かなり急激に技術レベルも向上しているようで、分野によってはアメリカを凌駕しているところもあるようです。

 ただ、そういった成長が産業スパイのような不法な手段でアメリカから情報を持ち出すこともあるようで、アメリカは中国への技術の流出を防止することにかなり神経を使っているようです。

 そういった覇権争いは5Gだけにとどまらず、自動運転技術やブロックチェーンなど先進的な技術競争のあらゆる分野に及んでいるということなのですが、個人的に特に重要なんじゃないかと感じたのがブロックチェーンの技術です。

 中国はアジア諸国ブロックチェーンの普及に努めているのですが、決済や送金などをスマホで行えるようにネットワークを広げて行っており、そのことが米ドルの相対的地位を押し下げることにつながっており、ある意味そういった決済ネットワークが基軸通貨的な役割を果たすことになるんではないかと思われます。

 なんかこの本では中国の攻勢に対してアメリカが防戦一方となっている印象で、イッキに中国が覇権を握ってしまうような気がしてしまいます…