語られざる中国の結末/宮家邦彦

 

語られざる中国の結末 (PHP新書)

語られざる中国の結末 (PHP新書)

 

 

 先日『哀しき半島国家韓国の結末』を紹介した宮家さんが、それ以前に中国に関する著書を出版されていると知って手に取ってみました。

 この本の出版は2013年で、中国の東南アジアへの海洋進出が顕著になり始めた頃ですが、トランプ大統領就任以降の全面対決モードとは異なり、お互いジャブを撃ち合いつつ相手の腹を探っているような雰囲気だった時期の内容ですが、今日の米中の対立、さらには武力衝突の可能性にも言及されています。

 宮家さんがおっしゃるには、元々中国は世界に冠たる国家であり、周囲との衝突はありながらも世界のトップに君臨してきたという意識を持ち続けていたのですが、それがアヘン戦争での挫折以降、元の立場に戻れずにいるというトラウマに苛まれているんだそうです。

 そういったプライドを理解しなければ、中国の行動を理解することは難しいようで、現在世界のトップに君臨するアメリカと何らかのカタチで衝突するのは不可避なようです。

 そういった衝突があった後にどうなるのか、ということが宮家さん流のパターン別のシナリオで分析されます。

 ただ中国が全面的にアメリカを圧倒するというのは現時点では想像し難いということで、中国が敗れた場合のシナリオを中心に紹介されているのですが、その場合は共産党の求心力の低下は否めないようなのですが、その場合でも民社化に移行するというシナリオの可能性は、中国の歴史から鑑みてかなり低いようですが、漢民族中心の政権が維持されるか否かによっては、かなりのカオスを招く可能性があるようです。

 そういったカオスは日本に波及する可能性が高いはずですが、そういう時の対応策って、何か考えてるんですかね…