サードプレイス/レイ・オルデンバーグ

 

 

 確か、何かのリタイア本の推薦図書として挙げられていたのがキッカケで手に取ったと記憶していますが、アメリカの都市社会学者の方が、コミュニティの形成を促すような「サードプレイス」の効用を説かれた本です。

 「サードプレイス」というのは、家庭でも職場でもない“第三”の場所ということなのですが、そういう場所で形成される“コミュニティ”が人々の生活を充実させるということを説かれています。

 典型的な例として、イングランドにおけるパブやフランスにおけるコーヒーハウスを挙げられているんですが、アメリカにおいてはそういったコミュニティの形成を促すような場所の存在が希薄だと指摘されています。

 そういう“場所”は自然発生的に生まれることが多いようなのですが、アメリカではそういう“場所”がチェーン展開の店であることが多かったのと、特にそういう店では顕著なのとアメリカの社会全体が効率を求めることを優先する傾向が強いことから、そういうコミュニティの形成を意図されることが少なかったからみたいです。

 ただ、そういうコミュニティが人々の生活にもたらす効用は小さくないと指摘されていて、イングランドやフランスでの事例を併せて紹介されています。

 日本もかつてはそういう“場所”があったように思うのですが、アメリカの合理主義が導入されるにつれて、そういうコミュニティを形成するような場所が無くなって行ったように感じます。

 今後は社会の成熟と共に、そういった場所の復元が望まれるところです。