ムハンマド/カレン・アームストロング

 

ムハンマド──世界を変えた預言者の生涯

ムハンマド──世界を変えた預言者の生涯

 

 

 イスラム教の創始者である預言者ムハンマドの生涯を描いた本なのですが、出口さんが『哲学と宗教全史』で推薦図書として挙げられていたので手に取ってみました。

 イスラム教というと、西欧諸国の影響下にある日本にいるとどうしてもイスラム過激派といったイメージで見てしまいがちなのですが、出口さんによると、預言者ムハンマド自身が元々商人だったということもあり、かなり合理的な宗教だと指摘されていたのが意外で、イスラム教のことを知りたいと思った次第です。

 この本を書かれたのはムスリムではなく、英国の宗教学者でありながら、ジャーナリストで元カトリック修道女という異色の経歴の方が書かれたものだということで、努めてプレーンに書こうとされる意図が感じられ、書かれている内容は可能な限りムハンマドの生涯にフォーカスされており、宗教的な意義等への言及は少なく、個人的には、正直肩透かし的なところもあります。

 西欧諸国的には一夫多妻を認めるところに非難が生きがちですが、実は逆も認められており、しかも一夫多妻であっても、女性を“所有物”としてみるワケではなく、貧困に陥ることを救済しようとする意図があり、当時としては女性にも財産の保有を認めるといった、現代に通じる合理性もあるということを指摘されています。

 今後も、イスラム教関連の本を見繕って紹介して行きたいと思います。