「知の怪人」佐藤優さんが外交ジャーナリストとしてテレビなどでもお見掛けする手嶋さんとの対談本があると知って手に取ってみました。
佐藤さんの対談本は得てして、佐藤さんの圧倒的な知識量に対談相手が防戦一方になってしまうか、ご自身のフィールドを明確にした上で、そのフィールド内での対応をされることが多いのですが、このお二方はメインが外交におけるインテリジェンスということで、かなりの領域が被っているということで“棲み分け”は難しいのですが、見事なまでにガップリ四つに組んでいるという印象です。
この本は『中央公論』誌の9、11月号に掲載された対談がベースとなっているようで、金正恩がトランプ大統領との首脳会談に臨んだ直後ということもあって、タイトルは『米中激突』となっていて、モチロンそういう内容も含まれているのですが、読後の印象ではアメリカと北朝鮮のギリギリの心理戦の印象が圧倒的に強い気がしています。
金正恩とトランプ大統領の首脳会談の実現については“青天の霹靂”といった論評をするメディアが少なからずあったということなのですが、これについてはお二方とも明確に予測されていたということで、丹念に周辺の事象を分析すれば、当然そういう結論になることがわかるはずだとおっしゃられており、メディアの怠慢もしくは素養の欠如に苦言を呈されています。
同様にトランプ氏が大統領に当選した際にも同様の反応がありましたが、立て続けの失策に政府、官僚、メディアの将来への不安についても指摘されています。
まあ、お二方ともインテリジェンスのプロフェッショナルだからこその視点なのかも知れませんが、今後東アジア情勢が混とんとしていく中で、指導層にはそういう素養が求められるはずだということで、その欠如に恐ろしい想いをされられるところです。