日本史に学ぶマネーの論理/飯田泰之

 

日本史に学ぶマネーの論理

日本史に学ぶマネーの論理

 

 

 歴史を経済を手掛かりに語る本でアタリが多かったので手に取ってみたのですが、ありがちな“手掛かり”的に語る内容ではなくて、かなり本格的な貨幣経済の構造的なモノを語られたモノなので、結構ホネのある内容でした。

 個人的には、マクロ経済学もそれなりに知識もあるつもりだったのですが、この本ではかなり金融の細かい理論も盛り込まれていたので、正直ワタクシの経済学の知識ではキビシイところおあったのですが、かなり歴史のダイナミズムを感じさせるモノで、細かい理論でわからないところもありながらも、楽しんで読み進めることができました。

 だからといって、難解なばかりではなく、歴史の流れの中で貨幣がどのような役割を果たしていたのかをリアルに語られており、さすがに現代と同様にとはいかないまでも、貨幣は奈良時代くらいから現代とそん色がないくらいの機能を果たしていたようで、その進化の度合いには驚くべきところがあります。

 冒頭で飯田さんは、最古の貨幣と言われるヤップ島の巨大な石の貨幣の機能は、最新のバーチャル通貨と通じるところがあると指摘されていますが、権力が関わらない通貨にはそういう特性があるのかも知れません。

 幕末の為替の混乱についてもうちょっと取り扱ってほしかったというところはありますが、日本における通貨の機能の変遷を余すところなく見通すことができて、新たな歴史観を見た想いができる本でした。