政治を選ぶ力/橋下徹・三浦瑠麗

 

政治を選ぶ力 (文春新書)

政治を選ぶ力 (文春新書)

 

 

 元大阪府知事大阪市長の橋下さんと国政政治学者の三浦さんによる昨今の日本の政治関する対談です。

 割と発言が物議をかもすことの多いお二人ですが、大荒れになるか、ミョーに噛み合うかのどっちかだろうと思っていましたが、読んでみると後者のようで、かなりガップリ四つの迫力のある対談となっています。

 昨今の日本の政治情勢ですが、長きに渡る安倍政権の評価については、個人的には功罪半ばといった感じに思えるのですが、お二方は割と安倍政権の成果については高めに評価されていて、安倍政権以前の不安定な状況を脱して安定的な政権運営といった部分が大きなメリットであり、そこが曲がりなりにも(少なくとも選挙の結果においては)国民に評価されている部分だと指摘されています。

 それに対して、安倍政権が多少(では済んでないはずなんですが…)のスキャンダルでも足下を掬われていないのは、野党が全くと言っていいほど国民のニーズに沿った政策を提示できていないからで、ただ単に反対だけして、実現性のある政策を全くと言って提示できていないとブッた切られています。

 ただ安倍政権の政策についても、経済政策については否定的に評価されているのと、今後についてはかなり国民の評価を得るような実績をあげることは覚束ないであろうことを示唆されています。

 オモシロかったのが三浦さんによる橋下さんの大阪時代のスタンスについての評価なんですが、三浦さんは政策原理的な色彩が強いと指摘されているのに対し、橋下さんはご自身のスタンスについてマーケティング的な姿勢だったとおっしゃるのですが、個人的には三浦さんの見方の方が実態に近い気はします。

 でも、三浦さんがこんなにバランスの取れた議論をされているのにはちょっと意外な気がしました。