幸福な監視国家・中国/梶谷懐、高口康太

 

幸福な監視国家・中国 (NHK出版新書)

幸福な監視国家・中国 (NHK出版新書)

 

 

 ネット上での規制や監視カメラなどを使った国家による「監視」が行われていると言う中国での現状と西欧社会からとの対比を紹介されています。

 

 日本を含めた西欧的な価値観の下にある国では、中国での「監視」に懐疑的な目を向けがちなのですが、当の中国人がどう思ってるかと言うと、さして窮屈な思いを感じてるワケではないようで、むしろ世の中が整然として暮らしやすくなりまったという肯定的な見方が多いようです。

 

 これは権力からの「自由」に最上の価値を見いだす西欧的な価値観とは異なり、「天」による庇護の下にあると言う中国的な価値観からすると、多少の自由は犠牲にしたとしても、「信用スコア」などを利用して多くの人にとって平穏な社会を実現することの方に合理性を見出しているということなんでしょうね⁉︎

 

 新型コロナウィルスへの中国の強烈な封じ込めを見ていると、西欧諸国の爆発的な広がりを許してしまったところと比較して、こういった考え方の有効性を示したとも言えそうです。

 

 長らく西欧的な自由主義に基づく考え方がグローバルスタンダードだとされてきましたが、不確実性が高まっていて、テクノロジーの進化に法の整備が追いつかない昨今、中国的な合理性が世界を席巻して行くのかも知れません⁉︎ちょっとコワい気はするけど…