沢木耕太郎さんの本を色々読み返していたら、最新刊が出版されていることを知って、手に取ってみました。
沢木さんの国内旅行の本だということで盛んにプロモーションをされているようですが、それはただ単に『深夜特急』の印象の強い沢木さんの本は、「旅」を冠した方が売れやすいからであって、旅となっているのはホンのキッカケであって、エッセイ集と言った方が相応しいかも知れません。
だからといって「旅」を期待して手に取って肩透かしを食らうといったモノでもなく、沢木さんの軽やかな旅のスタイルは健在です。
国内であっても、旅となるとケチになってしまう沢木さんの長年染みついた性癖は抜けようがなさそうですし、目の前のことを面白がることによって旅を充実させるという旅のスキルは、ちょっとしたお出かけであっても健在で、ホンの偶然の出会いであっても生涯思い返すようなことに出会ってしまうようなことは、沢木さんの「旅」の真骨頂なのかも知れません。
この本はJR東日本が発行している「トランヴェール」という雑誌に連載された文章なんで、ムリにでも「旅」を前面に押し出さざるを得ないところもあるでしょうし、“旅先”も東日本に偏ってはいますが、ホンのちょっとした”旅”を楽しむための”技術”は却ってこういう身近な”旅”で提示してもらってこそ、フツーの人たちには理解しやすいんじゃないでしょうか!?